「歯を磨いているのに、なぜ歯を失っていくのか?」
「歯磨きは万病のもと」だなんて、まさか!そう思ったかもしれません。
歯磨きは確かにいいことです。それは間違いありません。
でも、毎日行っている歯みがきのやり方が間違っていたら、歯を守ることはできないどころか、全身の状態さえ悪くしてしまうことがある。それもまた真実なのです。
そう伝えても、まだ「たかが歯」「たかが歯みがき」と思っている人もいるでしょう。
30代では奥歯を中心に、詰め物「インレー」やかぶせもの「クラウン」が入っているのがわかります。すべての歯が揃っているかのように見えますが、30代でもすでに2割以上の人が歯を失っています。おそらく、虫歯治療を繰り返しているうちに歯を守れなくなった結果でしょう。
40代になると、詰め物やかぶせ物だけではなく、奥歯のところにブリッジが入っています。ブリッジとは、歯を失った部分を補うために、両隣の歯を土台にして連結したかぶせ物をかぶせる方法のこと。
この年代になると、平均でも1本前後の歯を失っています。また、歯周病も気付かぬうちに進行していることが多く、半数以上の人のくちのなかで骨吸収(歯の支えるあごの骨が溶けること)がはじまっています。
50代になると、さらに多くの歯を失い、失った歯は平均で3〜4本に。もともとブリッジを入れていた人は土台になっていた両隣の歯もダメにしてしまうことが多く、部分入れ歯を入れる人も増えます。
そして、40代後半から50代にかけて、歯周病によって歯を失うケースも増えてきます。抜歯の原因になり、歯周病が虫歯を上回るようになるのがこの頃です。
60代はというと、顕著に歯が少なくなっています。60代の喪失歯は6〜7本。親知らずを除いた歯の総数は28本ですから、4分の1近くの歯をすでに失っていることになります。そして残っている歯も神経を抜かれたものが多く見られます。
歯周病も進み、この年代になると、全体的に骨吸収が進んでいる人が多い傾向にあります。
しかも、すでに骨が失われているにもかかわらず、歯周病治療をちゃんと受けていない人が多く、歯の周りには歯石がたまったままということも。
70代以降になると、残っている歯の数が平均16〜17本になり、4分の1の人は総入れ歯になります。80代では4〜5割の人が総入れ歯になります。
これが日本人の平均的なくちのなかです。年齢があがるにつれて、虫歯や歯周病で歯を失っていくことがわかります。歯を失った人も、歯みがきは毎日行っていたはず。実際、歯みがきに関する調査結果を見てみても、1日1回も歯を磨かないという人はほとんどいません。
では、毎日歯を磨いていても加齢とともに歯を失っていくということは、仕方のないようか現象なのでしょうか?いいえ、決してそうではありません。
歯みがきの仕方、オーラルケアの仕方に誤りがあったのだと思います。
次回はこの続きについて書いていこうと思います。